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消費者庁は必要か?

● 2008年6月に「消費者行政推進計画」が閣議決定され、その一環として消費者庁(仮称)の設置が検討されています。生産者重視から消費者重視への転換には意義があります。内閣に消費者行政担当大臣を置くことは理解できます。各地の消費生活センターを充実することは納得しえます。けれども、お役所を新設する必要があるのかと思っていたところへ、はたして反対論が出てきました。

● 一人は、財務省出身の榊原英資早稲田大学教授(産経新聞「正論」2008年7月28日)。氏の主張はこうです。個人消費はGDPの6割を占めるほど膨大で多様であるのに、単一の省庁ですべての分野をカバーできるのか。農林水産物、食品工業、小売業、医療、介護、理美容などについては、それぞれの関係省庁が所管している。消費者庁は、これに屋上屋を架することになる。食品偽装問題や毒入りギョーザ事件をきっかけに消費者保護に対する関心が高まっていたところへ、マスメディアが煽り、これにポピュリズム化した政治が乗ってしまったのではないか。過剰な消費者保護は規制強化と関係省庁の権限強化に結びつきかねない。

● もう一人は、経済産業省出身の石川和男東京女子医大教授(日本経済新聞「経済教室」2008年9月4日)。氏はこう主張します。多数の関係法令のうち29法令だけ移管対象となっているのは恣意的だ。一つの窓口で対応するという「ワンストップ機能」を整備することは重要だが、これは国民生活センターならびに各地の消費生活センターのような「現場」で対応できる。消費者保護の名目で事前規制が強化されれば、健全な経済活動を阻害するおそれがある。

■ 地方分権は、中央政府の権限・財源を地方政府または民間部門に移譲することを意味します。その前提として中央政府・地方政府を通じて、政府部門の役割を徹底して見直すことが必要です。そういう議論をしているときに、中央省庁の再編・統合ならともかく新設する必要があるのか。そもそも消費者保護というのは、消費者と生産者の間における「情報の不完全問題」に対応することを目的しています。であれば、住民に近い「現場」の機能を強化すればよいはずです。どうしても中央省庁をつくるというのであれば、石川教授が指摘しているように「経済産業省を廃して国民生活省を新設する」くらいの覚悟が必要ではないか。