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政府にも市場にも不信?

● 大竹文雄『格差と希望』(筑摩書房、2008年)を読んでいると、興味深い調査結果が紹介されていました。ウエブサイトから取り出して少し詳しくみてみると、興味深いどころか、どこか空恐ろしくなるような思いがしました。調査というのは、ワシントンに本部のあるPew研究センターが定期的に実施している国際世論調査です。以下は、47か国を対象とした2007年春の調査結果の抜粋です。分かりやすくするため、「そう思う」という回答から「そうは思わない」という回答を引いた割合で比較してみました。

■ まず、《自由市場経済のもとでは、一部の人々は裕福になり、一部の人々は貧しくなるとしても、多くの人々の生活はよりよくなると思うか》という質問については、中国51%、韓国49%、イギリス48%、スウェーデン48%、ドイツ32%であるのに対し、フランスでは9%にとどまります。ところが日本ではマイナス1%であり、わずかとはいえ「そう思う」49%を「そうは思わない」50%が上回っているのです。

■ 次に、《国家または政府は、私たちの日常生活をコントロールしている、影響を及ぼしていると思うか》という質問については、ドイツ49%、アメリカ32%、イギリス31%、フランス30%、スウェーデン26%であり、いずれも「そう思う」という回答が「そうは思わない」という回答を2倍程度上回ります。これに対し、韓国マイナス11%、中国マイナス19%、そして日本では「そう思う」34%、「そうは思わない」64%であり、差し引きマイナス30%。東アジア3か国では、いずれも否定的回答が多いのです。

■ もう一つ、《自分の面倒をみることができないほど非常に貧しい人々の世話をするのは国家または政府の責任と思うか》という質問については、ドイツ85%、イギリス83%、中国81%、韓国75%、スウェーデン74%であり、「そう思う」という回答が圧倒的に多い。一方、アメリカでは42%に低下し、さらに日本では「そう思う」59%、「そうは思わない」38%であり、差し引き21%にすぎません。

● 多くの主要国では自由市場経済の意義を認めているのに対し、わが国では肯定的ではありません。主要国の多くでは自由市場経済を容認する一方、国家または政府への信頼があるからこそ、格差是正を国家または政府の責任とみていると解釈されます。しかし、わが国はそうではないのです。わが国は、自由市場経済の恩恵を享受してきたにもかかわらず、手厚い社会保障制度を構築してきたにもかかわらず、さらに膨大な借金を犠牲にしながら政府部門に対して過大な要求をしてきたにもかかわらず、それがこの調査結果なのです。